東北地方の南部に位置する福島県は、豊かな自然と歴史、そして美味しい食に恵まれた魅力的な土地です。
特に温泉においては、奥羽山脈や阿武隈山地の自然の中に湧き出る秘湯から、歴史情緒あふれる湯の町、そして太平洋を望む開放的な温泉地まで、地域ごとに異なる個性豊かな温泉が点在する「温泉大国」として知られています。
この記事では、執筆者が旅行代理店で培ってきた経験を活かし、福島県が誇る代表的な5つの温泉地を厳選してご紹介します。
各温泉地の泉質や効能、アクセス方法、そして周辺のおすすめ観光スポットや知って嬉しい小ネタまで、旅のプロならではの視点で徹底解説。
この記事を読むことで、あなたの理想の温泉地が見つかるはずです。
ぜひ最後までご覧ください。
【福島県】おすすめ温泉地5選
ここからは、福島県を代表する5つの温泉地を、旅のプロならではの視点で詳しく紹介します。
それぞれの温泉地の魅力や特徴を知って、あなたの理想の温泉地を見つけてくださいね。
1. 飯坂温泉
飯坂温泉の共同浴場-「飯坂温泉オフィシャルサイト(https://iizaka.com/)」より引用。
福島市から電車で約25分とアクセス良好な飯坂(いいざか)温泉は、松尾芭蕉も訪れたとされる歴史ある名湯です。
古くは「鯖湖湯(さばこゆ)」に代表される共同浴場文化が息づき、湯治場として栄えてきました。
摺上川(すりかみがわ) 沿いに旅館が立ち並び、趣のある温泉街の散策と、熱めの湯に浸かる共同浴場巡りが最大の魅力です。
飯坂温泉|泉質と効能
飯坂温泉の主な泉質は、単純温泉やアルカリ性単純温泉です。無色透明で、刺激が少なく肌に優しい湯が特徴。源泉の温度が高めのため、入浴には注意が必要な場合もありますが、湯上り後は体が芯から温まり、爽快感があります。
期待される効能として挙げられるのは、疲労回復、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、健康増進など。湯上がりの肌はしっとりとして、美肌効果も期待できるでしょう。
飯坂温泉|魅力と特徴
飯坂温泉の最大の魅力は、温泉街に点在する9つの共同浴場です。
特に「鯖湖湯」は日本最古の木造建築共同浴場として知られており、地元の人々や湯治客と共に湯に浸かる体験は、飯坂温泉ならではの醍醐味です。
各共同浴場はそれぞれ異なる趣があり、湯めぐり手形を利用して巡るのも楽しいでしょう。摺上川沿いの渓谷美も素晴らしく、特に春の新緑や秋の紅葉は絶景です。
温泉街には、老舗旅館からカジュアルな宿まで様々な宿泊施設があり、個性豊かな温泉情緒を堪能できます。
飯坂温泉|アクセス
飯坂温泉は、福島市 飯坂町 湯野上地区に位置しています。
JR福島駅から福島交通飯坂線に乗車し、終点の飯坂温泉駅まで約25分。駅から温泉街は徒歩圏内で、共同浴場巡りにも便利です。
レンタカーや自家用車の場合は、東北自動車道「福島飯坂IC」から約10分でアクセス可能です。
福島市街地からのアクセスが良いため、市街地からの日帰りでも十分に楽しめます。
飯坂温泉|周辺観光
周辺には、松尾芭蕉が句を詠んだとされる景勝地「十綱橋(とつなばし)」や、桜の名所として知られる「医王寺(いおうじ)」があります。
また、近くの「フルーツライン」では、季節ごとのフルーツ狩りを楽しむことができ、特に夏から秋にかけては多くの観光客で賑わいます。
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2. 東山温泉
会津若松市の市街地からほど近く、車で約15分の場所にある東山温泉は、開湯1300年以上の歴史を持つ東北有数の名湯です。
会津若松の奥座敷として古くから親しまれており、湯川渓谷沿いにが情緒豊かな旅館が建ち並びます。
新選組の土方歳三も刀傷を癒したと言われる、歴史ロマンあふれる温泉であることも特徴です。
東山温泉|泉質と効能
東山温泉の主な泉質は、硫酸塩泉です。無色透明で、肌に優しい湯が特徴。硫黄の香りがほのかに漂うこともあります。
肌の活性化や傷の治癒促進に良いとされ、「傷の湯」や「中風の湯」としても知られている硫酸塩泉。保温効果も高く、神経痛、筋肉痛、関節痛、疲労回復、冷え性、高血圧症などに効能があると言われています。
湯上りは肌がしっとりとして、美肌効果も期待できるでしょう。
東山温泉|魅力と特徴
東山温泉街-「会津若松観光ナビ(https://www.aizukanko.com/)」より引用。
東山温泉の最大の魅力は、湯川渓谷に沿って旅館が立ち並ぶ、情緒豊かな温泉街の景観です。
春には新緑、秋には紅葉が渓谷を彩り、四季折々の美しい景色の中で湯に浸かることができます。
温泉街には、無料の足湯や、土産物店、カフェなどが点在し、散策も楽しめるのがポイント。趣のある石段や小道が続き、歴史とノスタルジーを感じさせる雰囲気が漂います。
会津若松市街地からのアクセスが良いため、鶴ヶ城や武家屋敷などの歴史観光と合わせて楽しめるのも大きな魅力です。
東山温泉|アクセス
東山温泉は、会津若松市 東山町に位置しています。
JR会津若松駅からバス「東山温泉行き」に乗車し、約20分で到着します。
多くの旅館がJR会津若松駅からの送迎バスを運行しているため、事前に確認すると良いでしょう。
レンタカーや自家用車の場合は、磐越自動車道「会津若松IC」から約20分でアクセス可能です。
東山温泉|周辺観光
周辺には、会津藩の歴史を伝える名城「鶴ヶ城(会津若松城)」があり、天守閣からの眺めは圧巻です。
また、会津藩士の暮らしを垣間見ることができる「会津武家屋敷」も必見。会津漆器や会津木綿などの伝統工芸品を扱う店も多く、お土産探しも楽しめます。
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3. 芦ノ牧温泉
会津若松市の南部に位置し、雄大な大川渓谷に沿って広がる芦ノ牧(あしのまき)温泉は、開湯1200年以上の歴史を持つ温泉地です。
渓谷美と一体となった露天風呂が最大の魅力で、四季折々の自然が織りなす絶景を眺めながら、ゆったりと湯に浸かることができます。
会津の奥深い自然と歴史を肌で感じられる名湯として知られているでしょう。
芦ノ牧温泉|泉質と効能
芦ノ牧温泉の主な泉質は、単純温泉やナトリウム−塩化物・硫酸塩泉です。無色透明で、肌に優しい弱アルカリ性の湯が特徴。塩分を含むため湯冷めしにくく、体の芯から温まる「熱の湯」として知られています。
期待される効能は、疲労回復、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、健康増進などです。
芦ノ牧温泉|魅力と特徴
芦ノ牧温泉の最大の魅力は、大川渓谷のダイナミックな景観を望む露天風呂です。
渓谷美と一体となった開放感あふれる湯浴みは、芦ノ牧温泉ならではの特別な体験となるでしょう。
温泉街には、無料の足湯や、土産物店が点在し、ゆったりとした時間が流れています。
地元食材を使った料理も魅力で、会津の旬の味覚を堪能できますよ。
芦ノ牧温泉 大川荘-「会津芦ノ牧温泉観光協会(https://aizu-ashinomaki.jp/)」より引用。
また、『鬼滅の刃』好きは、作中に登場する「異空間 無間城」に似ているとされる「芦ノ牧温泉 大川荘」への宿泊がおすすめです。
芦ノ牧温泉|アクセス
芦ノ牧温泉は、会津若松市 大戸町に位置しています。
JR会津若松駅から会津鉄道に乗車し、芦ノ牧温泉駅まで約30分。芦ノ牧温泉駅からは、各旅館の送迎バスまたは路線バスを利用するのが一般的です。
レンタカーや自家用車の場合は、磐越自動車道「会津若松IC」から約30分でアクセス可能です。
会津若松市街地からも比較的近いため、会津観光の拠点としても便利です。
芦ノ牧温泉|周辺観光
周辺には、渓谷沿いの遊歩道「大川ライン」があり、四季折々の自然の中を散策できます。
また、白虎隊終焉の地として知られる「飯盛山(いいもりやま)」や、歴史的な建造物が多く残る「七日町通り」など、会津若松市内の観光スポットへのアクセスも良好です。
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4. 湯野上温泉
湯野上温泉-「湯野上温泉観光協会(https://yunokami.com/)」より引用。
会津西部に位置する湯野上(ゆのかみ)温泉は、日本で唯一の茅葺き屋根の駅舎「湯野上温泉駅」がシンボルとなる、里山の温泉地です。
大内宿へのアクセスも良く、日本の原風景が残る場所として、多くの観光客を魅了しています。
素朴ながらも温かいおもてなしと、豊かな自然の中でゆったりと過ごせる雰囲気が魅力です。
湯野上温泉|泉質と効能
湯野上温泉の主な泉質は、単純温泉やアルカリ性単純温泉です。その特徴は、無色透明であり、刺激が少なく、肌に優しい弱アルカリ性の湯であること。
源泉の温度は適度で、長時間ゆったりと入浴を楽しむことができます。
疲労回復、神経痛、筋肉痛、関節痛、冷え性、健康増進などに効能があると言われており、特に美肌効果も期待できるようです。
湯上り後は肌がしっとりとして、ツルツルとした感触を味わえます。
湯野上温泉|魅力と特徴
湯野上温泉の最大の魅力は、日本で唯一の茅葺き屋根の駅舎を持つ「湯野上温泉駅」です。
駅舎内には囲炉裏があり、冬には火が焚かれるなど、到着した瞬間から日本の里山の温かさを感じられます。
温泉地全体がノスタルジックな雰囲気に包まれ、都会の喧騒を忘れさせてくれます。
温泉街には、こぢんまりとした旅館や民宿が点在し、アットホームな雰囲気が魅力です。
周辺には、吊り橋や渓流など、自然を満喫できるスポットもあります。
湯野上温泉|アクセス
湯野上温泉は、南会津郡 下郷町 湯野上地区に位置しています。最寄り駅は、会津鉄道「湯野上温泉駅」。
JR会津若松駅からは会津鉄道に乗車し、約40分で到着します。
湯野上温泉駅から各旅館までは徒歩圏内、または送迎バスが利用可能です。
レンタカーや自家用車の場合は、東北自動車道「白河IC」または磐越自動車道「会津若松IC」からアクセスし、国道121号線を経由します。大内宿へのアクセス拠点としても非常に便利です。
湯野上温泉|周辺観光
周辺には、江戸時代の宿場町の面影をそのまま残す、「大内宿(おおうちじゅく)」があり、まるでタイムスリップしたかのような体験ができます。
また、奇岩が連なる景勝地「塔のへつり」も人気の観光スポットです。
会津鉄道沿線の美しい景色も楽しめ、特に紅葉シーズンには多くの観光客で賑わいます。
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5. いわき湯本温泉
いわき湯本温泉-「いわき市観光サイト(https://kankou-iwaki.or.jp/)」より引用。
福島県南東部、太平洋岸に位置するいわき湯本温泉は、古くは「常磐湯本温泉」として栄え、1000年以上の歴史を持つ温泉地です。
映画『フラガール』の舞台としても有名で、温泉の豊富な湯量と、大型レジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」が隣接していることが最大の魅力。
家族連れからグループ旅行まで、誰もが楽しめる明るい温泉地です。
いわき湯本温泉|泉質と効能
いわき湯本温泉の主な泉質は、硫黄泉です。
硫黄の香りが特徴的で、無色透明またはわずかに白濁していることもあります。
硫黄泉に期待される効能は、慢性皮膚病、リウマチ、高血圧、動脈硬化症など。湯上り後は肌がツルツルになると言われており、美肌効果も期待できるでしょう。
また、湯量が非常に豊富であることも特長です。
いわき湯本温泉|魅力と特徴
スパリゾートハワイアンズ-「いわき市観光サイト(https://kankou-iwaki.or.jp/)」より引用。
いわき湯本温泉の最大の魅力は、なんといっても隣接する「スパリゾートハワイアンズ」との相乗効果です。
温泉プール、ウォータースライダー、フラショーなど、一日中楽しめるアミューズメント施設と温泉が一体となり、幅広い世代に人気を博しています。
温泉街自体も歴史があり、共同浴場や旅館が点在し、昔ながらの温泉情緒も味わえますよ。
太平洋に近く、新鮮な海の幸も味わえるのも魅力の一つです。
いわき湯本温泉|アクセス
いわき湯本温泉は、いわき市 常磐湯本町に位置しています。最寄り駅は、JR常磐線「湯本駅」。
JR東京駅からは、JR常磐線特急「ひたち」で約2時間15分。駅から温泉街やスパリゾートハワイアンズまでは、路線バスまたは送迎バスが利用可能です。
レンタカーや自家用車の場合は、常磐自動車道「いわき湯本IC」から約5分とアクセスしやすいです。
いわき湯本温泉|周辺観光
周辺には、世界最大級のドーム型温室が有名な「いわき市石炭・化石館 ほるる」があり、石炭の歴史や恐竜の化石について学べます。
美しい砂浜が広がる「いわきサンマリーナ」や、「アクアマリンふくしま」など、海のレジャーや学びの施設も充実しています。
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福島温泉旅に便利な交通手段は?
交通手段の選び方
レンタカー vs 公共交通機関
福島県は南北に長く、地域によって公共交通機関の利便性が異なるため、交通手段の選択が旅の快適さを大きく左右します。
以下に、レンタカーと公共交通機関のそれぞれの利点をまとめました。
レンタカー
行動範囲が広がり、自由にスケジュールを組めるのが大きなメリットです。
今回ご紹介した芦ノ牧温泉や湯野上温泉のように、公共交通機関でのアクセスがやや不便な温泉地や、広範囲に点在する観光スポットを巡りたい場合には非常に便利。
特に山間部の温泉地へは、レンタカーの方がスムーズにアクセスできることが多いです。
ただし、冬季の山間部は積雪量が多く、道路の凍結も頻繁に発生するため、雪道や凍結路面の運転に十分な注意が必要です。
スタッドレスタイヤの装着は必須で、可能であれば四輪駆動車を選びましょう。雪道の運転に不慣れな方は、無理せず公共交通機関の利用を検討することをお勧めします。
また、レンタカーを利用する際は、ガソリン満タン返しが基本となる他、駐車料金等の費用も別途発生することを覚えておきましょう。
公共交通機関
運転の心配がなく、ゆったりと景色を楽しめるのが魅力です。
冬でも安心して移動できる他、飯坂温泉やいわき湯本温泉のように駅からのアクセスが良い温泉地もあります。
ただし、運行本数が限られる場合や、乗り換えが必要な場合があるため、行動範囲が限定されることも。各温泉地への直行バス(有料送迎バス含む)を事前に調べておくと、スムーズな移動が可能となります。
意外と忘れがち?温泉マナーと持ち物リスト
日本の温泉には、複数のマナーがあります。
ここでは、そんな温泉マナーの一例をご紹介します。不安に思っている方は、念のため確認しておきましょう。
- 湯船に入る前に、必ずかけ湯で体の汚れを洗い流しましょう。
- タオルは湯船に入れない。頭の上に乗せるとより温泉感UP!
- 髪が長い場合は、湯船に髪が入らないように結びましょう。
- 大声で話す、泳ぐ、などの他者に迷惑をかける行為は控え、静かに利用しましょう。
- 浴室内やロッカースペースでの写真撮影は禁止です。
忘れ物ゼロで安心!温泉旅の持ち物リスト
温泉旅に「あってよかった!」となるアイテムをリストアップしました。
出発前にぜひチェックしてみてください。
◻︎ 温泉手形(あれば)
◻︎ スマートフォン&モバイルバッテリー
◻︎ 着替え
◻︎ 薄手のバスタオル/フェイスタオル
◻︎ 洗面用具(使い慣れたもの)
◻︎ 化粧水・乳液などスキンケア用品
◻︎ 小さくたためるエコバッグ
◻︎ ジップロック/ビニール袋
◻︎ 折りたたみ傘/レインコート
◻︎ 歩きやすい靴
ジップロックやビニール袋は、濡れたタオルや衣類を入れるのに便利です。
また、バスタオルやフェイスタオルは温泉で備えられていることも多いですが、自分用を持っているといざという時に安心。予備として、使い慣れたものを持っていきましょう。
本記事のまとめ
東北地方の南部に位置する福島県の温泉は、訪れる人々に深い癒やしと感動を与えてくれる特別な存在です。
千年の歴史を持つ飯坂温泉、会津の奥座敷・東山温泉、大川渓谷の絶景を望む芦ノ牧温泉、茅葺き屋根の駅舎が迎える湯野上温泉、そしてフラガールのふるさと・いわき湯本温泉──。
福島県の温泉は、千年の歴史を刻む湯治場から絶景露天風呂、そして里山の温もりを感じる湯まで、地域ごとの個性が光り、訪れる人々に多彩な癒しを提供しています。
この記事では、各温泉地の泉質や効能、アクセス方法、そして周辺の楽しみ方や旅のプロならではの小ネタまで、詳細に解説してきました。
公式サイトや各温泉協会のウェブサイトで最新情報を確認し、万全の準備で、忘れられない思い出を作ってきてくださいね。