トレード・デッドライン目前の現地時間7月31日、ニューヨーク・ヤンキースが、デービッド・ベッドナー、カミロ・ドバルの2名を獲得しました。両者はどちらも元所属チームで”守護神”を務める、強力なリリーフ投手。
対価として放出されたのは、ヤンキース傘下のプロスペクトたち合計7名です。
本記事では、ベッドナー、ドバルについてご紹介しつつ、ヤンキースの狙いについて解説していきます。
【今回の移籍について】
- パイレーツからクローザーのデービッド・ベッドナーを獲得。
- ジャイアンツからクローザーのカミロ・ドバルを獲得。
- 両社はどちらも’23年に39セーブを挙げ、リーグのセーブ王に輝いている。
- ヤンキースには既にデビン・ウィリアムズ、ルーク・ウィーバーと2名のクローザーが在籍。
- ポストシーズン進出に向けて、ヤンキースは確固たる終盤力を得た。
ヤンキースが2名の守護神を獲得
冒頭でもご紹介した通り、ニューヨーク・ヤンキースは2名の守護神を新たに迎え入れました。
デービッド・ベッドナー
【移籍元】ピッツバーグ・パイレーツ
2019年にサンディエゴ・パドレスでメジャーデビューを果たしたベッドナーは、’21年からパイレーツに所属し、チームのクローザーとして定着。
’22、’23年はオールスターに選出されており、特に’23年は39セーブでナショナルリーグのセーブ王に輝きました。
移籍前時点の成績は、2勝5敗17S、防御率2.37、WHIP 1.11と好調をキープしています。
ベッドナー獲得のため、ヤンキースは球団内プロスペクト8位のラファエル・フローレス、同14位のエッジグリーン・ペレス他、合計3名を放出。
地区優勝はおろか、ポストシーズンも危ぶまれている現状を打破するため、複数の若手有望株を切る格好となりました。
カミロ・ドバル
【移籍元】サンフランシスコ・ジャイアンツ
WBC代表経験もあるドミニカ出身のカミロ・ドバルは、2021年にジャイアンツでメジャーデビューを果たしました。
翌年にはクローザーとして定着し、27セーブ。さらに翌年の’23年は、ベッドナーと同じく39セーブを記録し、ア・リーグセーブ王に輝きました。また、同年にはオールスター初出場も果たしています。
今季成績は、4勝2敗15S、防御率3.09、WHIP 1.20。
’24年から四球が多く、多くの走者を許しているものの、比較的安定したシーズンを送っている印象です。
なお、ドバル獲得のため、ヤンキースは球団内プロスペクトランキング19位のトリスタン・ヴリエリング、同25位のヘスス・ロドリゲス他、合計4名を放出しています。
ヤンキースのこれまでとこれから
これまでのヤンキース|2人のクローザー
まずは、これまでのヤンキースのブルペン事情をおさらいします。
2025年シーズン序盤のヤンキースは、新加入のデビン・ウィリアムズをクローザーに据え、昨季後半からクローザーを任されていたルーク・ウィーバーをセットアッパーとして起用していました。
まさかの乱調
「エアベンダー」と呼ばれるチェンジアップが武器のウィリアムズは、2024年まではミルウォーキー・ブリュワーズに在籍。主にクローザーを務めた’22〜’24年は、3年連続で1点台の防御率と、まさに支配的な成績を残していました。
そして’25年、満を持してヤンキースにやってきたウィリアムズでしたが、まさかの大乱調。
4月終了時点で、0勝2敗4S、防御率 9.00、1度のブローンセーブ(=セーブ失敗)と、スタートダッシュに失敗してしまったのです。
一方のウィーバーは、4月終了時点で自責点は0と、昨季から好調を維持していました。
両者の状態を見たアーロン・ブーン監督は、5月は両者の役割を入れ替えて様子を見ることとします。
ウィーバーの離脱
5月のウィーバーは、相変わらず好調を維持。
1度のブローンセーブを喫するも、その他のセーブ機会はいずれも抑えており、5月終了時点の防御率は1.05と、MLB全体でもトップクラスの成績です。
しかし、このタイミングで、好調だったウィーバーが左ハムストリングの負傷によって離脱。
再びウィリアムズがメインのクローザーとして起用されることになります。
2人のクローザー
クローザー復帰後のウィリアムズは、防御率こそ下がらないものの、セーブ機会で期待に応え、復権を果たしつつありました。
対するウィーバーも、ILからの復帰後はやや不安定さを見せており、7月は2度のブローンセーブを記録。
後半戦に入り、”終盤の不安定さ”がヤンキースの”弱み”となりつつありました。
現時点では地区2位であり、「王者奪還」どころか、ポストシーズン進出にも黄信号が点っているヤンキース。
そんな状況であるからこそ、絶対的な終盤力を構築するべく、2人の守護神の獲得に至ったものと思われます。
これからのヤンキース
ヤンキースは、今回のトレードで、デービッド・ベッドナー、カミロ・ドバルという2名の”守護神”を獲得しました。
既存のクローザーであるデビン・ウィリアムズとルーク・ウィーバーを合わせて、合計4名の「守護神クラス」の投手が揃ったことになります。
メジャー屈指の強力な布陣でブルペンを固めたヤンキースは、試合終盤を制する「確固たる終盤力」を手に入れました。特にポストシーズンでは、接戦を勝ち抜くために絶対的なブルペンが不可欠です。
複数の守護神を状況に応じて使い分けることで、指揮官のアーロン・ブーン監督は、より柔軟かつ効果的な継投策を講じることが可能となります。
今後の試合においては、主に上述の4名が勝ちパターンを担っていくことでしょう。
本記事のまとめ
ニューヨーク・ヤンキースは、トレード・デッドラインで守護神クラスの投手を一挙に2名獲得するという、大きな動きを見せました。
有望な若手プロスペクトを複数放出してまで「今」の勝利を選んだヤンキース。
これは、「なんとしてでもポストシーズンに進出し、ワールドシリーズを制する」という強い決意が表れたトレードと言えるでしょう。
今後のヤンキースは、”試合終盤”に注目する必要がありそうです。
その他のトレード情報
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