移動手段にして目的地でもある新しい旅のカタチ、クルーズ。
各旅行会社・船会社から様々な旅行商品が売り出されており、いずれも予約が取りにくいほどの人気を誇ります。
しかし、「クルーズ」と一口に言っても、その種類は実に様々。
商品数も多く、「選び方がわからない」という声も散見されます。
本記事では、そんなクルーズ船選びの1つの基準となる、「クラス分け」について徹底解説。
合計4つのクラスの違いとそれぞれの特徴をご紹介します。
クルーズ船の「クラス」とは?
ホテルにビジネスホテルやシティホテル、リゾートホテルなど様々なクラスがあるように、クルーズ船にもクラスがあります。
具体的な分け方としては、「カジュアル」「プレミアム」「ラグジュアリー」「ブティック」の4つ。
判別方法に厳密な国際基準はなく、クルーズ会社や船のコンセプトによって分類が多少異なる場合もあります。
クラス分けについて
クラス分けについて「厳密な国家基準はない」ことは上述の通りですが、ある程度の指標は存在します。
それが、「サービス・レシオ」と「スペース・レシオ」です。
以下、それぞれの用語についてまとめています。
【サービス・レシオ】
「サービス・レシオ」とは、乗組員1人あたりの乗船客数を指す概念です。
乗客定員を乗組員数で割ることで算出され、乗組員1人につき何名の乗客の対応が可能かが示されます。
この値が低いほど、質の高いサービスを受けることが可能です。
【例】乗客定員:4,000人 乗組員数:2,000人
→サービス・レシオ:2.0(人)
【スペース・レシオ】
「スペース・レシオ」とは、乗船客1人あたりのスペースを指す概念です。
総トン数を乗客定員で割ることで算出され、乗船客1人につきどの程度のスペースを占有可能かが示されます。
この値が高いほど、船内でよりゆったりと過ごすことが可能です。
【例】乗客定員:4,000人 総トン数:160,000t
→スペース・レシオ:40t

スペース・レシオは高ければ高いほど、
当該クルーズ船のクラスが高いと判断できます。
【プロが教える!】カジュアルクラスとは?
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Photo by iStock
ここからは、クルーズ船の各クラスについて、実際に運航中の船の例を交えつつ解説していきます。
まず、最も手軽にクルーズ旅行を体験することができるのが「カジュアルクラス」です。



【カジュアルクラス】特徴
カジュアルクラスに分類されるクルーズ船は、総じて規模が大きく、船内全体が活気に満ちた雰囲気である場合が多い傾向にあります。
船体自体が巨大であるため、多くのアミューズメント施設を備えることも可能であり、例えばウォータースライダーやロッククライミング施設、ゴーカートを備えた船も登場しているんです。
また、船内ではエンターテイメントやアクティビティも豊富に用意されており、楽しめる要素は満載。
朝起きてから夜遅くまで、暇を持て余す時間はありません。
そして、最大の特徴は、クルーズ旅行としては比較的リーズナブルな価格で参加可能という点。
初めてクルーズを体験する方や、旅行費用を抑えたい方にとって、手が出し易い価格設定も用意されています。
設定されているドレスコードも緩やかである場合が多く、クラス名通り”カジュアル”に楽しむことができますよ。
【カジュアルクラス】こんな人におすすめ!
カジュアルクラスのクルーズ船をおすすめしたいのは、「まずは気軽に体験してみたい」と言うクルーズ初心者の方。
まずは旅行費用を抑えつつ、クルーズ船の”楽しい要素”を存分に味わうことができます。
また、クルーズ体験のある方であっても、賑やかな雰囲気がお好きな方や、豊富なエンターテイメントやアクティビティを楽しみたい方にもおすすめです。
カジュアルクラスは、まるで洋上の巨大リゾート。
気の合う仲間と一緒に、巨大パーティーに繰り出しませんか。
【プロが教える!】プレミアムクラスとは?
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Photo by iStock
ここでは、「プレミアムクラス」のクルーズ船についてご紹介します。



2027年からは、「サファイア・プリンセス」も日本発着ツアーを行う予定です。
【プレミアムクラス】特徴
「プレミアムクラス」に分類されるクルーズ船は、カジュアルクラスほどではないものの、比較的船体が大きく施設も充実している傾向にあります。
一方で、カジュアルクラスよりもサービスの質や船内での快適性はグッと上がるため、より上質な体験を希望する方にはピッタリです。
船内の雰囲気も、賑やかさと落ち着きのバランスが取れている場合が多く、バーやラウンジなどのリラックスして過ごせる空間も多く用意されています。
ドレスコードについて、乗船するクルーズのテーマや船会社によっては、多少の”意識”が必要になる場合も。
……とは言え、例えば「スマートカジュアル」など、”少しだけきちんと感のある服装”を要求される場合がほとんどであり、身構え過ぎる必要はありません。
なお、要求されるドレスコードは、申し込み前に確認することが可能です。


【プレミアムクラス】こんな人におすすめ!
プレミアムクラスのクルーズ船をおすすめしたいのは、カジュアルクラスへの乗船を経てクルーズ旅行に興味を持った方や、より質の高いクルーズを求めている方です。
カジュアル船のような”巨大船ならではの楽しみ”を残しつつも、ラグジュアリー船のようなきめ細かいサービス、上質な食事を楽しむことができるプレミアム船。
例えば比較的年代の高い方が初めてクルーズ旅行をされる場合も、プレミアムクラス以上がおすすめです。
【プロが教える!】ラグジュアリークラスとは?
次に、よりハイクオリティなサービスを展開する「ラグジュアリークラス」についてご紹介します。
【ラグジュアリークラス】特徴
ラグジュアリークラスのクルーズ船は、陸上の最高級ホテルに匹敵する、洗練されたサービスと豪華な設備が魅力です。ゲストに対する乗組員の比率(=サービス・レシオ)が非常に低いため、一人ひとりにきめ細やかなホスピタリティが提供されます。
ほとんどの場合、船内は華美なアミューズメント施設よりも、上質なスパやライブラリー、高級ブティックなどが中心です。
また、多くのラグジュアリー船は、飲食代に加えてチップ代や寄港地ツアー代なども含まれており、カジュアル船以上に「オールインクルーシブ」を採用しています。



【ラグジュアリークラス】こんな人におすすめ!
ラグジュアリークラスは、ゆとりのある空間と上質なサービス、そして美食を求める方に最適な選択肢です。
船旅そのものを旅の目的地と捉え、心ゆくまで優雅な時間を過ごしたい方にはピッタリ。
プレミアムクラス同様、比較的年代の高い方が初めてクルーズ旅行をされる場合には特におすすめです。
【プロが教える!】ブティッククラスとは?
最後に、数あるクルーズ船の中で最上級のランクに位置する「ブティッククラス」をご紹介します。



これまでは「ラグジュアリークラス」が最上級クラスでした。
【ブティッククラス】特徴
ブティッククラスは、クルーズ船の分類において最上級に位置づけられる、非常に小規模で特別な船です。
ゲスト定員は数十名から数百名と非常に少なく、まるでプライベートヨットで旅をしているかのような、究極のパーソナルサービスと体験を提供します。
洗練された内装で統一された船内は、まるで高級ブティックホテルかのよう。
ラグジュアリー船同様、大規模なエンターテイメント施設よりは、静かに過ごせるラウンジや落ち着いた雰囲気のバーが充実しています。
また、いずれも小型船であるため、大型船が入れない小さな港や、手つかずの自然が残る入り江など、ユニークで特別な場所を巡ることができます。
寄港地でのアクティビティも、少人数制のプライベートツアーが中心です。
【ブティッククラス】こんな人におすすめ!
ブティッククラスをおすすめしたいのは、誰にも邪魔されないプライベートな空間と、究極のパーソナルサービスを求める方です。
人生の節目となる特別な記念日など、唯一無二の旅を心ゆくまで楽しみたい方に最適な選択肢となることでしょう。
洗練された大人の雰囲気の中、最上級の体験を。
【ブティッククラス】一例
ホテルブランド「ザ・リッツ・カールトン」による「ザ・リッツ・カールトン ヨットコレクション」は、ブティッククラスの最たる例です。






【番外編】カジュアルとラグジュアリーの融合
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Photo by iStock
昨今では、カジュアルクラスに分類される巨大船であっても、特別なレストランやプール、バトラーサービスを提供するスイート客室専用区画を備えている場合が多くなってきました。
このようなクルーズ船の登場により、カジュアル/ラグジュアリーと言った線引きが、特に意味をなさない場合も多くなってきています。
これにより、ゲストはラグジュアリーなサービスを楽しみながらも、巨大船ならではの活気あるエンターテイメントや豊富なアクティビティも満喫できるのです。
本記事のまとめ
本記事でご紹介したように、クルーズには旅のスタイルや目的に合わせて選べる4つのクラスがあります。
手軽で活気あふれるカジュアル、サービスと価格のバランスがとれたプレミアム、究極のホスピタリティを誇るラグジュアリー、そして特別な体験を提供するブティッククラス。
それぞれの特徴を理解し、あなたにぴったりの「洋上の邸宅」を見つけることで、船旅はきっと忘れられない特別な思い出となることでしょう。
クルーズ旅行の申し込みに迷われている方は、ぜひ一歩踏み出してみませんか?