誰しもがその存在を知り、そしと憧れを抱く、「南極大陸」。
かつては命懸けだった極地への航海も、未知が既知となり、航行技術が発展した現代では、一般客が立ち入ることすら可能な「観光地」の1つとなりました。
そんな極地を観光目的とする「エクスペディション・クルーズ」は、知的好奇心と冒険心を満たしてくれる究極の探検旅行として、いま注目が集めっている旅のスタイル。
今回は、その「エクスペディション・クルーズ」に関連して、南極大陸へ向かう際の最大の障壁となる「ドレーク海峡」についてご紹介します。
南極クルーズを計画されている方は、ぜひ参考にしてください。
ドレーク海峡とは?
「ドレーク海峡(Drake Passage)」は、チリ共和国の最南端に位置するホーン岬と、南極海に浮かぶサウス・シェトランド諸島との間の、世界一幅の広い海峡です。英探検家のフランシス・ドレークにちなんで名付けられ、世界で最も荒れる海域の1つとしても知られています。
ドレーク海峡|なぜ揺れる?
「ドレーク海峡」は、南緯40度以上の俗称「吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度」のうち、最も荒れる「叫ぶ60度(shrieking sixties)」に位置しています。
この付近の海域が荒れる原因は、大西洋・太平洋・南極海が合流し、かつ年間を通じて温帯低気圧の通り道となっているから。
特に南緯60度地点は陸地がほぼ存在せず、吹き荒れる強風や海流が遮られません。
それゆえに、発達した波風が航海中の船に襲い掛かり、「叫ぶ60度」たる揺れを引き起こしているのです。
ドレーク海峡|どれくらい揺れる?
「ドレーク海峡」の平均的な波高は2.5〜4mほど。波高6mを超える荒れた航海になることもままあります。
例えば「ベッドから吹き飛ばされた」という体験記も、決して珍しいものではありません。
利用する船次第という面もありますが、いずれにしても相応の揺れは覚悟しておく方が良いでしょう。
ドレーク海峡|揺れない時期
年間を通して温帯低気圧が通っており、吹き荒れる風が止むことはない「ドレーク海峡」。
一方で、そんな魔の海域にも、時折静かな状態が観測されます。
”Drake Lake (ドレーク・レイク)”と呼ばれる、湖(Lake)のような波のない穏やかな状態であれば、平均波高は0〜2mとほとんど揺れません。
ただ、南極クルーズが行われる南極大陸の夏(=11〜3月)にかけては、「ドレーク海峡」の状況は予測不可能です。
すなわち、「穏やかな”時期”」というものも存在しないため、ドレーク・レイクをピンポイントで狙うことはできません。
結局のところ、南極クルーズが荒れるかどうかは運次第となります。
(参考:「Antarctica Travel Group, Inc」)
ドレーク海峡|おすすめクルーズ船

ル・コマンダン・シャルコー|画像提供©︎PONANT
現代において、南極クルーズを実施しているクルーズ会社は、決して少なくありません。
そんな中でも特におすすめしたいのが、ラグジュアリー船での極地クルーズの先駆け、「PONANT(ポナン)」です。
ポナンのクルーズ船は、航行時の横揺れを抑える「フィン・スタビライザー」を装備。
加えて、これまでの極地クルーズで集積したノウハウにより、快適な南極旅行が実現されているのです。
例えば、ポナンのクルーズ船内では、5m前後の波が立っている日でも、ワイングラスでワインがサーブされます。つまり、5mの波程度では、グラスが落ちて割れるほどの揺れは発生しないのです。
フランス流のおもてなしが自慢のラグジュアリーな船内で、安心・安全な南極クルーズに繰り出しませんか。

ドレーク海峡|酔い止めは必要?
南極クルーズに挑む際は、「ドレーク海峡」の通過に備えて、往路で2日、復路で2日の合計4日分は酔い止め薬の持ち込みを推奨します。
一部の船舶では、船内の医務室に酔い止め薬が用意されていることもありますが、日本人仕様の薬ではないため、不必要に効果が出過ぎてしまう可能性も。
したがって、船酔いが心配な方も、そうでない方も、最低限「ドレーク海峡」(往復)を耐えられる量の酔い止め薬は日本から持ち込みましょう。
本格的に船が揺れ始めて不安な場合、船内のお酒を飲んで酒に酔い、そのままベッドで寝てしまうのも手。
ドレーク海峡に限らず、船酔いを防ぐ方法や船酔い時の対策は以下の記事でまとめています。
ぜひ併せてご覧ください。

本記事のまとめ
誰もが一度は憧れる南極大陸へのクルーズ旅行。
本記事でご紹介した通り、「ドレーク海峡」はそんな憧れの前に立ちはだかる最大の障壁です。
基本的に、この海域を航行中に起こる揺れは避けられませんが、ポナンのようなフィン・スタビライザーを装備した高性能な船を選ぶことで、快適な船旅が実現します。
”世界で1番荒れる海域”を乗り越えた先に待つのは、地球上でそこだけの雄大な自然美。
南極クルーズで、文字通りの「極地」へと繰り出してみませんか。
【南極クルーズ】よくある疑問を解決!
俗に「吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度」と称される、来るものを拒むかのような海域が障壁となり、多くの人にとって未知の大地となっている「南極大陸」。
ここでは、そんな最後の大陸を踏み締めたい方に向けて、様々な情報をまとめています。
南極へのルートは?
南極へは、南アメリカ大陸やオーストラリア大陸、アフリカ大陸など、各大陸の南側からの出発が基本となります。
直線距離は、オーストラリアから南極は約2,500km、アフリカから南極は約4,000km。
一方、南アメリカから南極までは約1,000kmと比較的近く、多くの南極クルーズではアルゼンチン南端のウシュアイアが玄関口となっています。

南極旅行にビザは必要?
南極はいずれの国家にも属していないため、ビザは必要ありません。
一方、南極旅行に向かう道中で幾つかの国を経由するため、例えばアメリカで乗り継ぎを行う場合、「ESTA」の申請が必須となります。
また、南極への立ち入りにあたっては、環境省への事前の届出が必要です。
詳細は各クルーズ会社にお問い合わせください。
南極でオーロラは見える?
南極クルーズのシーズンは、ほとんど白夜(びゃくや)に近い状態となるため、オーロラを観測することはできません。
タビプロ
寒さが心配……
南極旅行のベストシーズンである11〜2月頃は、南極では夏にあたります。
気温は-5〜5度の範囲で推移しており、太陽が照り付けている日は暖かさを感じる場合も。
南極へ向かう際に経由するブエノスアイレスは温暖な地域である他、クルーズ船内はエアコンで快適な温度に保たれているため、春〜夏用の服装も持参することをおすすめします。
また、「PONANT(ポナン)」などの一部のクルーズ会社では、防水性の防寒上着「パルカ」の提供があります。
ドレーク海峡は揺れる?
南極クルーズと言えば、「ドレーク海峡」。
テーブルから皿やグラスが落ち、人はベッドから転がり落ちる……そんなイメージを持つ方も、少なくないのではないでしょうか。
しかし、昨今のクルーズ船は、最新の横揺れ防止装置「フィン・スタビライザー」を備えており、揺れは大幅に抑制されています。
乗り物酔いが不安な方は、最低4日分の酔い止め薬は持ち込んでおきましょう。
ドレーク海峡や、揺れに強いおすすめクルーズ船については、以下の記事で詳しくまとめています。


南極クルーズに必要なものは?
以下に、南極クルーズにおいて必要な物・持っていくと便利な物をまとめました。
- 防寒上着(防水機能も必須)
- 防水ズボン
- 重ね着用の上着(長袖のセーターなど)
- 重ね着用のズボン
- 長靴
- 帽子(耳を覆う形のもの)
- 防寒手袋
- 厚手の防水手袋
- 厚手の靴下
- 水着
- サングラス
- 日焼け止め
- 双眼鏡
- 常備薬(酔い止め含む)
「よいたび。」クルーズ特集
「よいたび。」では、新しい旅のスタイルである「クルーズ旅行」の魅力を広めるため、様々な記事を作成・公開しています。
クルーズ|関連記事














クルーズ|おすすめブック
話題のクルーズ船を一括でチェックするなら、るるぶの『クルーズのすべて』がおすすめです。
るるぶクルーズのすべて2025~2026 (JTBのムック)






